====== 3-9 forで繰り返し処理 ======
「for」も「while」と同じ、特定の条件下で処理を繰り返す制御文です。
機能的にはwhileと同じですが、よりコンパクトな文章で書き表すことができます。
===== whileをコンパクトにした「for」 =====
==== for文の基本的な書き方 ====
for ( 変数を宣言し初期化する部分; 条件式の部分; 1ループごとに変数に加える変化の部分 ) {
条件が成立しているときに繰り返したい処理をここに書く
処理は何行書いてもOK
}
for文では、while文で数行使って別々に書いていた、
* 繰り返しの判定に使う変数の宣言と初期値の代入
* 条件式の設定
* 繰り返しの判定に使う変数に加える変化
の3つを、なんとforの後ろの( )内に、まとめて1行で書くことができます。
早速解説していきます。
==1行目==
forの後ろの( )内に、3つの要素を「;」で区切って書きます。
**一つめは「繰り返しの判定に使う変数の宣言と初期値の代入」**です。先ほどのwhileのサンプルコードの変数countの宣言にあたる部分です。
**二つめは「条件式の設定」**です。先ほどの例では(count < 10)でした。
**三つめは「繰り返しの判定に使う変数に加える変化」**です。whileの中身にある count = count + 1; がこれにあたります。
==2~3行目==
ここは{ }で括られた、for文の内部です。
ここに、条件式が成立しているときに繰り返したい処理を書きます。
==4行目==
波かっこ閉じによって、このfor文は終了します。
for文の条件式が不成立だった、或いはfor文の中身を繰り返処理する中で、成立していた式が不成立になった場合、for文は終了し5行目から次の処理が実行されます。
==== for文のサンプルコード解説 ====
サンプルコード3-9_for.inoを開いてください。
void setup() {
Serial.begin(9600);
//シリアルモニタで結果を見たいので、シリアル通信を開始します
}
void loop() {
for (int count = 1; count <= 10; count++) {
//↑左から順に、
//繰り返しの判定に使う変数countの宣言をし初期値に1を代入
//このfor文を繰り返すための条件式。「countが10以下なら繰り返す」
//このfor文の中身を1回処理するごとにcountに1を足す
Serial.println("マッシュRoom"); //モニタに文字列を表示
Serial.print("現在");
Serial.print(count);
Serial.println("回目の処理だよ");
//現在何回目の処理かを、↑の3行でシリアルモニタに表示します
delay(1000); //1秒待機します
}
Serial.println("forを抜けました。loop部の先頭に戻ります");
delay(5000); //5秒待機します
}
=== 動作確認 ===
このプログラムでは、先程のwhile文と全く同じ動作内容を、for文を使って実現しています。
なのでシリアルモニタから確認できる動作は、(一部のメッセージ内容を除いて)while文のサンプルコードと全く同じです。
従って、このプログラムをArduinoに書き込むと、下記のように動作するはずです。
マッシュRoom
現在XX回目の処理だよ
の2行が、シリアルモニタにだいたい1秒間隔で表示されます。
「現在XX回目~」の「XX」は1~10までで1回ずつ増え、10回目を表示した後、
forを抜けました。loop部の先頭に戻ります
が表示され、約5秒経過した後「現在1回目~」から再度同じ動作が実行されます。
=== コード解説 ===
続いてプログラムの解説です!
setup部は繰り返しになるので割愛します。
==7行目==
for (int count = 1; count <= 10; count++) {
forの後ろの( )内に、3つの式が「;」で区切られて書かれています。
**一つめは、「繰り返しの判定に使う変数の宣言と初期値の代入」**です。
この部分は、**for文を開始する時に1度だけ実行**されます。
今回はint count = 1; でint型の変数countを宣言し、中身に「1」を入れます。
while文では、countを宣言した時に代入した初期値は「0」でした。
この0が入ったcountに対し、while文の"内部"で+1の加算処理をした後に「現在XX回目の処理だよ」を表示する構造になっていました。
一方for文では、countへの加算処理はfor文の"内部"ではなく、"for文内部の処理を終えた後"で行われます。
for文の内部にある、「現在XX回目の処理だよ」のメッセージを表示する処理をする前に1回目のカウントを済ませている必要があるので、初期値を「1」に設定しています。
次に、**二つめの式では「条件式の設定」**をしています。今回は count <= 10; です。
ここはwhileの例では (count < 10) でした。
whileでは、0の状態でwhile文の内部に突入したcountが、1回目の処理を行った証として1加算されます。
これを繰り返し、最終的に9の状態で突入し10回目の処理を行ったcountは10になります。
この10を以て「既に10回処理した」判定をし、whileから脱出する処理フローになっています。
一方、今回のforではcountの初期値は1です。理由は先述の通り、「現在XX回目の処理だよ」のメッセージ表示に対応するためです。
for文の内部の処理を全て終えた段階でこのcountには+1の処理がされ「2」となり、for文の先頭に戻って再度条件式の判定を受けます。
__つまり今回のfor文では、変数countは 「既に何回処理したか」 ではなく 「これから何回目の処理をしたいか」 を意味します。__
3-8と同じ要領で「<(未満)」を使ってしまうと、countが10の時に10回目の処理をすることなくfor文を終了してしまうので、「<=(以上)」を使って処理をさせています。
**三つめの式は「繰り返しの判定に使う変数に加える変化」**です。
count++ の++は、「1加算する」を意味します (3-5の「Tips:Arduinoでの計算記号」を見てね!)
(count = count + 1; でも同じ結果は得られます。どちらを使ってもOKです)
この**「繰り返しの判定に使う変数に加える変化」は、for文の中身を処理した後に実行されます。**
==13行目==
Serial.println("マッシュRoom"); //モニタに文字列を表示
文字列「マッシュRoom」をシリアルモニタに表示する命令です。
==15~17行目==
Serial.print("現在");
Serial.print(count);
Serial.println("回目の処理だよ");
シリアルモニタに文字列「現在XX回目の処理だよ」と表示させます。
==20行目==
delay(1000);//1秒待機します
人間がシリアルモニタを目で追えるよう、1秒待機させます。
for文の最後まで来たので**__for文の先頭に戻り、条件式の判定を再度行います。__**
for文の中身を10回処理した後、22、23行目を実行し、そしてloop部の先頭に戻ります。
===== 「for」のまとめ =====
===for文のポイント===
* whileと同じく、特定の条件が成立する時だけ同じ処理を繰り返したい時 に使われる処理
* whileでは個別に処理する「繰り返しの判定に使う変数の宣言と初期値の代入」「条件式の設定」「繰り返しの判定に使う変数に加える変化」をまとめて設定する
* 「繰り返しの判定に使う変数の宣言と初期値の代入」はfor文を開始する時に1度だけ実行される
* 「繰り返しの判定に使う変数に加える変化」は、for文の中身を処理した後に実行される