4-3 電子回路の作り方

Arduinoにはたくさんのソケットがあり、電子部品を直接挿し込むことができます。
ですが実際には接続したい電子部品の前後に抵抗などを挟んだり、複数の部品を直列あるいは並列に繋げるシーンも出てきます。
複雑な電子回路を試作するときはブレッドボード上に回路を作成し、ブレッドボードとArduinoをジャンパワイヤで繋ぐのが一般的です。

ブレッドボードは、電子部品を自由に挿して回路を試作することができる、便利な板です。

ブレッドボードは破損しない限り、何度でも部品を挿し替えたり、部品を取っ払って新しい回路を組み直したりと、再利用が可能です。
サイズや形状はいろいろありますが、名刺ぐらいの大きさのものが一般的です。
商品によりボード隅にマウント用の穴があったり、裏面に両面テープがついているもの等があります。
  

ブレッドボードの表面には無数の穴が整列してあいています。
こちらの穴に電子部品のピンやジャンパワイヤをぶっ挿して回路を作ることができます。
  

このブレッドボードの内部は、上の写真のようになっています。
表面にあいている穴の内部は、右図の銀色の帯のような部分で電気的に繋がっています。
  

表面の画像の上に、半透明にした裏面の画像を合成してみました。
ブレッドボードの真ん中には溝があり、その上にabcde行が30列、下にfghij行が30列あります。
図の通り、abcde行の列はそれぞれ縦に繋がっています。fghij行も同様です。
  
  

例えば、6行目のa・b・c・d・eの5つの穴は、全部内部で繋がっています。
6-aの穴に部品を挿してそこに電気が流れれば、6-b~eの全ての穴全てにも通電します。 

一方、1~30までの各列の間は、銀色の帯は一切繋がっていません。
なので、6の列に電気が流れていても、他の1~5、7~30の列に電気は流れません。

またブレッドボードの真ん中にある溝でabcdeとfghijは分かたれています。
6-aや6-dに通電していたとしても、6-gや6-jに電気が流れることはありません。
  

ちなみに、端っこにある+と-の列は、それぞれ横一行に繋がっています。
  


模式図ではありますが、ブレッドボードを使った簡単な回路の例をご用意しました。

この回路の動作順序です。
Arduinoの電源をONにすると、5Vのソケットから5Vの電圧で電流が出力され始めます。
この電流は5Vに挿されたワイヤを通って、まずブレッドボードの+の行に到達します。
+と-の行は横一列に繋がっているので、+の行全体が通電している状態になります。
この+の列のすぐ左隣の穴から、1-iの穴にワイヤで電気の通り道が作られています。
1の列のfghijが通電し、1-hに挿された抵抗の脚から、その内部を通って5-hに電気が流れます。
電気は5-gに挿された+極の脚を通じてLEDの内部を通り、7-gから7の列に到達、7-jのワイヤから-の列に流れ、最終的に左隣に繋がれたワイヤからArduinoのGNDに戻ります。
Arduinoの内部で5VとGNDは繋がっています。こうしてひと繋ぎの回路が完成しました。
  


ジャンパワイヤは、Arduinoやブレッドボードに挿して使える、導線の役割を果たすワイヤです。
「ジャンパ線」や、単に「ワイヤ」と呼ばれたり、導線と同義の「リード線」呼びで示されることもあります。
ジャンパワイヤには“やわらかい電線部分の端にピンやソケットがついているタイプ”と、“固い金属の線でできているタイプ”の2種類があります。
どちらも壊れるまで再利用可能です。

なお本資料ではソケット/ピンの呼称を使用しますが、一般的にソケットはメス、ピンはオスと呼ばれることも多いです。
  

やわらかいジャンパワイヤ


やわらかいジャンパワイヤは、 Arduino、ブレッドボード、各種電子部品の どれを繋ぐのにも使える万能ワイヤです。
ワイヤの長さは商品によりますが、市販品だと10~30cmぐらいが一般的です。
ワイヤの端っこにはソケットかピンのどちらかがついています。
ソケットであればピンに挿すことができ、ピンであればソケットに挿せます。
数本のジャンパワイヤのピンとソケットを順番に繋ぎ延長することもできますが、作品に実装する時にはつぎはぎではなく一本の長い線を用意した方がベターです。

固いジャンパワイヤ


固いジャンパワイヤは、ブレッドボード上で回路を作るときに使われます。
ブレッドボードの上ではやわらかいワイヤより視認性がよく、線を引っ掛ける心配もなく、何よりしっかりと挿せて抜けにくいです。
ブレッドボード用なので、ワイヤの先端はどちらもピン状になっています。

  

第5章からは、配線図をもとに実際にブレッドボード上に回路を組み立てるパートが入ります。
ブレッドボードでの回路の作り方と、実際に回路を作る際の注意点を説明します。


まずこちらが第5章から出現する配線図の一例です。
  
この回路を作るには、あなたが使うLEDに合わせて抵抗の値を個別に計算する必要があります。
その方法は第4章で解説し、それをもとに第5章で実際に回路を作成します。
なので、今実際にこの回路を作る必要はありません。
適当な抵抗とLEDを使って作る練習をしていただくのは構いませんが、電気は一切流さないでください。
特にArduinoは必ずPCから引き抜き、いかなる電源も接続していない状態で練習してください。
  
上の配線図をもとに作った実際の回路の写真がこちらです。
  

  


配線をするときの注意点について解説します。

画像左下の4条のうち、①・③・④は必ず守ってください。
特に「必ずArduinoに電気が供給されていない状態で回路を作るor修正する」を守らなかった場合、下の画像のような事故が起きる場合があります。
  

この画像では、Arduinoの5Vに繋がれた赤いジャンパワイヤが抜かれていますが、先端が電子部品の間に引っ掛かり、ピンがLEDの-極の脚に接触しています。
もしこの時Arduinoが通電した状態だと、5Vからの電気は何の抵抗も介さずGNDに流れ込み、短絡(ショート)してしまいます。
またこの5Vのワイヤをブレッドボードに挿し直そうとして、もし間違えて-の列に挿してしまったら…これも短絡します。

回路は必ずArduinoの電源を切った状態で作成し、間違いがないかチェックしてから電源を投入しましょう!!

テスターをお持ちの方は、必ず5VとGNDの導通チェックをしてください!!(というか本当はこれをした方がベターです)